麻疹(はしか)ワクチンが有効
板橋稲門会会員である窪田公一医師が毎月、健康に関わる様々な情報をお届けします。
麻疹(はしか)とは、麻疹ウイルスによって起きる感染症です。
麻疹の感染状況は
国立感染症研究所のデータによると、麻疹の患者報告数は、昨年は45人でしたが本年は3月ですでに22人で、その後も陽性確認が相次ぎ、海外で感染して国内に持ち込まれたと考えられるケースが増加しています。
麻疹の症状は
麻疹ウイルスに感染すると10~12日の潜伏期間を経て、咳や鼻水などの上気道炎や、目脂を伴う結膜炎症状を発症します。38℃以上の発熱や強いだるさもみられ、症状が2~4日続いた後に、麻疹の特徴である発疹が、顔から始まり体幹部から四肢にかけて2、3日で一気に広がります。発疹とともに咳や鼻水、目脂などの症状が悪化し、発熱は時に40℃に達して発疹が全身に広がる時期の3、4日間続き、その後に症状は改善します。経過中に肺炎、中耳炎、脳炎、心筋炎を合併しやすく、死亡割合は、先進国でも1000人に1人と言われています。
感染の仕方は
麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強く、免疫を持っていない人が感染すると,ほぼ100%発症します。発症者と同じ部屋にいるだけで感染する可能性があるので発症者が利用した施設・交通機関が公表されます。今後、大阪・関西万博の開催による、流行している海外からの来訪者の増加によって、国内でも流行する可能性があります。
流行地域:東南アジア、欧州、アメリカ南西部
予防のためには
麻疹ウイルスに対する治療薬は現在もなく、ワクチンによる予防が最も重要です。1回の接種で95%以上、2回の接種で99%以上の免疫力が得られます。現在は定期接種となっていますが、過去に公費で接種を受けられなかった1962年4月2日~79年4月1日生まれの男性や気になる方は近医に相談してください。
参考:日本医師会雑誌 文責:窪田公一